聴覚障害児における物語理解の特徴に関する実験的研究 : MISCUE分析法によるプロセスの検討を中心に
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概要
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聴覚障害児の文章理解の特徴を明らかにするために、音読時のMISCUEを手がかりに、音読のプロセス及び理解を健聴児との比較を通して検討した。被験群は、音声言語を主なコミュニケーション手段とする聴覚障害児群の35名と健聴児群の20名であった。両被験群は知能偏差値によってマッチングされた。実験は、物語の音読課題と再生課題で構成され、MISCUEの出現率、単語・文・文脈レベルのプロセス、および再生の比較と関連を検討した。その結果、MISCUEは、量的には理解のプロセスを妨げるものの、質的には理解を促進する、相反する働きを示した。また、音声的手がかりや文法的手がかりの活用に劣るが、意味論的側面においては健聴児と同程度の活用をしながらも、その歪みが多いことも明らかになった。再生率においては健聴児に比べ有意に低いとはいえず、文章全体の流れの把握や、隠された意味をつかむ能力は劣ることが認められた。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1993-01-30
著者
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