高度難聴児の言語指導プログラムとその検証 : 語連鎖の獲得過程を中心に
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概要
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筆者は、言語構造の獲得、言語機能の促進、聴覚機能の向上、発語機能の向上の4次元から構成された、総合的な言語指導プログラムを開発した。本稿では、そのうち、言語構造の獲得の次元の、段階II:文構造(語連鎖)の獲得に焦点をあて、指導効果の検証を行った。対象は平均聴力レベル95dB以上の先天性感音難聴児4名であり、2歳前後から本プログラムに基づいて言語指導を開始した。その結果、およそ3歳までに、言語記号の理解と表出が困難な前記号的段階から、同年齢の健聴児に匹敵する、3語文の理解と産生が可能な段階に到達した。特に、発見が遅れて2歳代で指導を開始するような高度難聴児の場合、初期の段階で言語記号とそれが表す意味との関係を確実に成立させることが重要であり、その後は、必ずしも健聴児の順序性によらずに、年齢に匹敵する文構造を同時期に導入することによって、言語獲得を促進できる可能性があることが示唆された。
- 1992-03-30
著者
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