重度精神遅滞児に対する動作訓練法の効果 : 訓練継続による効果の増大
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概要
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本研究は、重度精神遅滞児に対する動作訓練法継続の効果を、20ヵ月の行動観察から検討したものである。遠矢(1988)で報告された訓練開始後、6ヵ月時の改善状態からさらに以下の行動変容が示された。1)腕あげ動作課題遂行中の問題行動生起頻度の減少傾向は維持されている。2)訓練開始後9ヵ月前後から、視線の合致頻度が減少傾向を示し、逆に一合致当りの平均時間が増加した。3)2の時期を境に、対人行動が、対象児の一方的かかわりから、他者との相互的関係形成へと変化した。また、この時期に、摂食行動における固執性が軽減し、さらに、それまで制御できなかった立ち上がり動作、膝立位静止姿勢を獲得した。遊びも活性化し、水遊び、ボール遊びなどのそれまで見られなかった行動が見いだされた。本研究により、動作訓練により獲得される自己制御能力は、訓練課題である動作制御のみならず、種々の行動面で発揮されること、及び、アイ・コンタクトと行動変容の関係性が示唆された。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1990-12-28
著者
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