吃音者のassertivenessについて : 吃音者間の相異の検討
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概要
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(1)201名の成人吃音者に36項目よりなるassertiveness scaleを実施し、各人のassertiveness scoreを算出した。そして4分割により、high assertive群とlow assertive群をとり出した。なお、両群は性と年令に関して等質な集団であった。(2)各項目について両群の比較をしたところ、36項目のうちで35項目に有意差が認められた。また、36項目すべてにおいて、high assertive群の方がlow assertive群よりもassertiveな方向にあった。(3)assertiveness scaleへの両群の回答にそれぞれ因子分析を適用した。その結果、low assertive群では、「正当性の主張」と「秘匿性」というように反対方向の因子が抽出され、彼らのアンビバレントな心理状態が推察された。(4)吃音についてのとらえ方を両群間で比較したところ、low assertive群はhigh assertive群より自己の吃音症状を重いと考え、また、自己の吃音について非常に悩んでいることが明らかとなった。(5)以上のことから、吃音についてのとらえ方とassertivenessとの間には有機的な関連があることが示唆されたが、このことは、assertiveな生き方を確立するという方向から吃音の克服を考えていこうとする立場の妥当性を裏付けていると解釈できよう。(6)Table 2,3の累積寄与率からも明らかなように、本稿では、吃音者のassertivenessをわずか30%で説明できる範囲内でしかとらえることができていない。今後は、さらに説明力を高め、各個人の行動上の問題点を適確に特定できるよう検討を重ねていきたい。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1985-03-30
著者
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