米国の障害児教育判例(1) : 治療権の成立と展開
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概要
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本研究は、米国における障害児の教育保障-すべての障害児に無償で適切な公教育を保障する-の一環として位置づけられる治療権(Right to Treatment)の成立と展開を判例を通して明らかにすることを目的とした。治療権は、1950年代後半にその萌芽が現われ、60年代に権利として創設され、制定法上の権利へと発展し、70年代に障害児教育の分野に導入された。当時、多くの精神遅滞児・者が、精神病院等に措置され、適切な治療・教育・訓練を受けていなかった。これに対し、各地で障害児・者、親並びにその支持者は、治療権の確立、処遇の改善を求めて提訴した。そして、最終的に治療権が合衆国憲法で保障する権利であるか否かを連邦最高裁判所の裁定に委ねるとはいえ、専門家の証言、裁判官の良識により、治療権を支持する判決が多く出され、処遇の向上、制度の改善が行なわれていることが指摘された。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1980-03-15
著者
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