ある自閉症児の言語再生過程について(1)
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概要
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自閉症児の言語再生過程の臨床像を詳細に知るために、精神薄弱とテンカンとをあわせもつ9歳の自閉症男児の約2年間にわたる週1回50分の遊戯治療中の言語活動をすべて採録し、分析詳述した。主たる所見は、次のとおりである。(1)言語再生過程の基本には、普通児の言語獲得初期過程と同一過程がいくつか含まれている。(2)意味獲得機能の歪み、対人志向性の欠如、言語活動領域の偏りと狭さ、発達速度の低さなどいくつかの障害は、年齢の上昇にあまり関係なく存在する。(3)言語活動量や発語明瞭度には、不規則で大きな日差がある。(4)独語、反響語、模倣語などにも、発達的変化が認められる。(5)言語活動の機能面では、主張、所有、呼びかけ、誇示、誘い、賞讃、慰め、提唱、許可、教え、代弁などに欠け、訴え、挨拶、説明、要求、模倣などが発達中である。(6)言語活動の機能水準は、月齢20〜22月の児童のそれと類似している。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1976-03-15
著者
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