中枢型扁平上皮肺癌を合併し,化学療法後に増悪を示した特発性肺線維症の1例
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概要
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背景.特発性肺線維症(IPF)では肺癌の合併する確率が高くなるが,肺癌合併とIPF増悪との関連は不明である.症例.60歳男性.胸部不快感にて当院を初診.胸部CT,肺機能検査より特発性肺線維症を疑われた.初診後約3カ月の経過で労作時呼吸困難,胸部X線上の間質影及び低酸素血症の増悪をきたした.気管支鏡検査にて右上葉支の入口部狭窄及び壁不整を認め,気管支擦過細胞診で扁平上皮癌と診断された.呼吸機能低下のため,化学療法を選択した.化学療法開始後第7日目より発熱を認め,その後呼吸状態の悪化が進行し,入院後第34病日に呼吸不全にて死亡.剖検にて通常型間質性肺炎及びびまん性の肺硝子膜形成を認めた.結論.本症例はIPFの増悪期と合併した中枢型の扁平上皮肺癌の進行時期とが同時期であり,肺癌に対する治療中に急性増悪をきたした.IPF合併肺癌の治療においては化学療法の適応判断は慎重に行うべきである.
- 日本呼吸器内視鏡学会の論文
- 2008-05-25
著者
-
坂巻 文雄
東京都済生会中央病院呼吸器内科
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余語 由里香
東京都済生会中央病院内科
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佐藤 亮太
東京都済生会中央病院内科
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宮原 裕美
東京都済生会中央病院内科
-
勝井 智子
東京都済生会中央病院内科
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田中 若恵
東京都済生会中央病院内科
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坂巻 文雄
東京都済生会中央病院内科
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佐藤 亮太
東京都済生会中央病院呼吸器内科
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勝井 智子
東京都済生会中央病院呼吸器内科
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田中 若恵
東京都済生会中央病院呼吸器内科
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宮原 裕美
東京都済生会中央病院呼吸器内科
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坂巻 文雄
東京都済生会中央病院
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