リンゴポリフェノールのう蝕抑制効果
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概要
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リンゴ未熟果実から抽出したポリフェノールAPPがグルカン産生に関与するグルコシルトランスフェラーゼの作用を阻害することが知られている.このリンゴポリフェノールAPPのう蝕抑制効果を実験期間12週間の動物実験で検討した.3週齢のゴールデンハムスター雄60匹にS. mutans(NTCC10449株)を経口的に接種,感染させ,高濃度スクロース含有食餌Diet 2000を与えた.6週齢のときにポリフェノールAPPを食餌Diet 2000に添加し. 0.05% APP添加群と0.2%APP添加群を実験群,APP無添加群(SU群)を対照群と定め,ハムスターを3群に分け飼育した.12週後(15週齢)クロロホルム麻酔下で屠殺し,上下顎臼歯を標本とし検索した.頬側面・咬合面・舌側面について,計3歯面でのプラーク付着とう蝕による歯面崩壊を検査し,5段階に区分して評価した.このプラーク付着スコアとう蝕による歯面崩壊スコアでは,重症う蝕(スコア5)が0.2%APP添加群で著しい有意の減少を示した.う蝕スコアおよびプラーク付着スコアを群間で比較すると,対照のSU群(APP無添加群)に比較して,0.05%APP添加群(p=0.003),0.2%APP添加群(p<0.001)で有意の差を認めた.APPを添加した2群には有意の差は認められなかった.統計的検定にはKruskall-Wallis testおよびTukey HSD-testを用いた.実験期間中の前期(MS Recovery-1;APP 添加前),中期(MS Recovery-2;APP 添加で飼育中),終期(MS Recovery-3;屠殺直前)で,S. mutansのCFU/ml量を測定した.CFU/ml量と重症う蝕(スコア5)との相関を調査すると,中期ではSU群でr=0.67(p<0.001),0.05%APP添加群でr=0.59(p<0.01)と有意の相関を認めた.終期ではSU群でr=0.76(p<0.001)となり,有意の相関を認めた.したがって,SU群に比較して,実験期間中に0.2%APP添加群ではS.mutansのCFU/ml量が減少し,重症う蝕(スコア5)も減少していることが認められた.同様に0.05%APP添加群でも減少傾向が認められた.この結果からリンゴポリフェノールAPPはプラーク中のS. mutans(CFU/ml)量の増減に影響を与え,プラーク付着を抑制し,重症う蝕を抑制するといえる.
- 2008-04-30
著者
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