An Introduction to Kidawida : The Language of the Taita in Southeast Kenya(II)Pronouns
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ダヴィダ語は、南東ケニアの丘陵地帯に暮らす山地農耕民のタイタ人の言語である。総合政策研究紀要第6号(2003年9月)において、ダヴィダ語の名詞、形容詞、数詞について分析した。本稿は、それにつぐものとして代名詞を取り上げる。タイタ人は、タイタ、カシガウ、サガラの三つの丘陵地帯、および、その麓のヴォイを中心とするウッドランド・サバンナ帯に暮らしているが、ダヴィダ語は、これらの地域の中で一番人口稠密なタイタ・ヒルズで使用されている言語である。ダヴィダ語は、ニジェル・コルドファンNiger-Kordofanian語族のなかのバントゥBantu系に分類される。タイタ人の言語としては、ダヴィダ語のほかにカシガウKikasigau語、サガラKisaghala語がある。カシガウ語は、ダヴィダ語の一方言としてとらえられているが、サガラ語は、ミジケンダMijikenda・グループのなかでとくにギリアマGiriama語との関係が深いとされ、そこでは、語彙の借用にとどまらず、音調の類似性が多くみられる。そうした点から、サガラ語は、タンザニア北部のパレPare語と同じグループに属し、ミジケンダ、スワヒリSwahiliを含むサバキSabakiグループを構成するものとして捉えられ、そこに、ダヴィダ語との相違点を見ることができる。その一方で、これらの言語は、接頭辞が発達していること、名詞がいくつかのクラスに分類されることなどの特徴を共有している。これは、代名詞の構成に直接影響を与えるものであり、特に、前稿Vol.Iで述べた名詞クラスの8つの分類法は、代名詞を考える前提となる。アルフレッド・レイAlfred Wrayは、ダヴィダ語の隣接言語であるサガラ語の名詞クラスを9つに分類しているが、本稿では、前稿で分析した8クラスを基本として議論を進める。一方、代名詞の種類に関しては、レイのサガラ語の分析を参照して、人称代名詞、所有代名詞、再帰代名詞、指示代名詞、関係代名詞、および、疑問詞を取り上げる。Vol.III以下では、動詞、副詞、その他を取り上げる。
- 尚美学園大学の論文
- 2005-09-30
著者
関連論文
- タイタ語とスワヒリ語の比較対照に関するデータ
- An Introduction to Kidawida : The Language of the Taita in Southeast Kenya(III)Verbs, Adverbs, Prepositions and Conjunctions
- ケニアの言語政策 : スワヒリ語を中心として
- An Introduction to Kidawida : The Language of the Taita in Southeast Kenya(II)Pronouns
- An Introduction to Kidawida : The Language of the Taita in south-east Kenya(I)Nouns, Adjectives and Numerals
- バントゥ系多言語社会とリンガ・フランカ : タイタ語とスワヒリ語の対照を中心として
- ミタロ=コンプレックス : ケニア・タイタ社会の数文化複合の構造に関する考察
- タイタ族の親族と結婚
- タンザニア・パレ社会における社会経済的変化 : 小規模工業と労働者像をめぐって
- 紛争事例研究再考