在英日系企業における日本人駐在員・英国人現地雇用従業員を対象とした相互接触型異文化リーダーシップの比較研究
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概要
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本研究は、ベイルズが相互接触過程分析(Bales,1950)から発展させたシムログ理論(Bales & Cohen withWilliamson, 1979, Bales, 1999)を用いて、調査対象者が持つリーダーシップ・メンバーシップに対するチームワーク価値を実証的に検討した。調査対象者は日常的に仕事上で異文化相互接触を頻繁に行っている在英日系企業の日本人駐在員と英国人現地雇用従業員である。まず、先行研究から、「(1)課題志向性の受容対非受容F-B次元に関して、日本人と英国人間に統計的有意差はない。(2)友好対非友好P-N次元に関して、英国人は日本人よりも友好性に関する価値を評定する。(3)支配対服従U-D次元に関して、日本人は英国人よりも支配に関する価値を評定する。」という仮説が導出された。次に、仮説を検証するために、本研究は定量・定性アプローチから成る混合方法アプローチを2段階で用いる研究デザインを採用した。ただし、本研究は、定量アプローチ分析結果に限定した報告である。調査に参加した在英日系企業は11社、質問紙による調査への参加者は英国人46人、日本人68人の合計114人であった。データ分析は、シムログ理論特有のフィールド・ダイアグラム分析とバーグラフ分析(探索的統計)および相関分析と分散分析(確認的統計)を用いて行われた。分析結果に基づき、仮説(3)だけが支持され、(1)と(2)は棄却された。そこで、(1)追加分析と(2)質問紙評定における準拠人物に関する分析の2点から再検討が行われた結果、(2)の評定において準拠された人物が日英間で異なっていたことから、仮説の一部だけが検証されたと解釈された。すなわち、リーダーシップ評定における準拠人物は、英国人が直属上司を、また日本人が経営陣を選択していたことから、仮説(1)が棄却され、仮説(3)が支持された。そして、メンバーシップ評定における準拠人物は、日英の多数が同僚を選択したので、仮説(2)が棄却された。シムログ理論は、肯定的のみならず否定的なチームワーク価値も検討する包括的な理論であるから、在英日系企業におけるリーダーシップ類型として継承タイプ(課題志向性受容)と革新タイプ(課題志向性非受容)の存在を明らかにした。また、準拠人物の分析結果は、暗黙的リーダーシップ理論を追証した上に、在英日系企業における国籍別リーダーシップの二重構造の存在を示唆しているので、在英日系企業のトップ・マネジメントは、文化横断的なリーダーシップを改善する必要性がある。
- 2007-09-30
著者
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