胆汁分泌の概日リズム : 胆管バイパス設置ラットでの研究
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概要
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コレステロール胆汁酸代謝研究において,ラットは有用な実験モデルとして広く利用されている。特に,他の動物実験(例えばマウス,ハムスター,イヌなど)と異なり,ラットには胆嚢が無く,総胆管からの胆汁採取や胆汁分泌量測定が容易であることから,胆汁酸分泌に関する多くの研究で使用されている。一般的な胆汁採取法としては,総胆管へカニューレを挿入して胆汁を採取する方法があるが,それらの多くは胆汁酸の腸-肝循環を遮断したり,麻酔下で行われていたり,動物に多大なストレスを与える拘束を強いたりするなど,多重分泌に影響を及ぼす非生理的な条件下であることが大きな問題となっている。我々は既報において,無麻酔,非拘束下で,胆汁酸の腸-肝循環を遮断することなく胆汁を採取できる胆管バイパス設置法を開発し,少なくとも1ヶ月間は成長や栄養状態への影響,肝-胆道系障害が認められず,胆管バイパス設置ラットがほぼ正常な生理的条件下での胆汁酸代謝を研究できる有用なモデルであることを報告した。ラットは夜行性の動物であり,一般的な飼育環境である12時間明期-12時間暗期の照明条件下で飼育されたラットでは,明期より暗期に多量の飼料を摂取する、このため栄養素の消化吸収や吸収後の代謝活性の多くが摂取パターンに連動した日内変動を示すことが知られている。Weisらは,無麻酔下で胆汁酸の腸-肝循環を遮断することなく胆汁を採取できる方法を開発し,胆汁中胆汁酸分泌の日内変動を調べ,胆汁酸分泌が真夜中にピークがある概日リズムを取ることを報告しているが,ラットをゲージ内で拘束した状態で飼育しており,拘束による影響をを除外できていない。拘束はラットにとって多大なストレス要因であり,それが胆汁分泌の日内変動に影響を与えていた可能性がある。本研究では,無麻酔・非拘束下で胆汁を採取できる胆管バイパス設置ラットの胆汁酸代謝研究への有用性を検討する一環として,胆汁分泌および胆汁酸分泌の日内変動を調べた。
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