アルカリ金属原子からのソノルミネセンスの周波数依存

概要

論文の詳細を見る
カリウムなどのアルカリ金属を含む水溶液からのソノルミネセンスには,連続スペクトル成分とアルカリ金属原子からの発光が含まれる。アルゴン飽和した濃度2MのKCl水溶液のソノルミネセンスを28kHz,48kHz,115kHz,325kHz,1MHzの超音波周波数,種々の印可電圧で測定し,K線強度・線幅および260-800 nmの広帯域スペクトルの周波数依存性を調べた。また,115kHzと1MHzではK線に与えるエタノールの影響を調べた。K線は赤方側に非対称に拡がり,その線幅は周波数とともに減少し,その強度は115kHzで最大であった。また,1mMのエタノール添加により,115kHzでは線幅は拡がり,1MHzでは線幅は顕著な変化はなかった。エタノール添加によりK線強度はどちらの周波数でも減少した。このことからK線発光は気泡内で起こり,アルゴンや水分子,エタノールから分解された種々の分子との衝突により線幅が拡がるものと結論された。広帯域スペクトル強度は周波数増加とともに増えることから,高周波ほど高温であると予想される。K線発光とは周波数依存性が異なることが示された。
2008-01-22