退職後の競業避止特約 (一)-ドイツの立法規制とその規制理念-

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概要

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人材の流動化と営業秘密等の知的財産価値の向上を受けて、退職後の競業避止特約の重要性が次第に高まりつつある。退職後の労働者に対して競業を禁止することができれば、企業は、営業秘密や顧客関係を比較的容易に保護することが可能であるためであろう。しかしながら、退職後の競業避止特約は、労働者の職業選択の自由を制約するために、使用者と労働者との間で締結された特約の内容をそのまま貫徹することができないという側面を有しており、こうした側面が、数多くの法的課題を提起するところとなっている。本稿は、わが国における競業避止特約の諸課題について、ドイツ法の処理を踏まえた考察を試みることを目的とし、(一)ドイツ競業避止特約規制の歴史的経緯、(二)ドイツ競業避止特約の有効要件・効果、(三)特約以外から生じる競業避止義務、(四)ドイツ法の特徴-アメリカ法との比較、(五)日本への示唆、という章立てによって構成されるものである。

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