診断方法発明に用いられた自然現象と特許権の保護対象 : LabCorp.v.Metabolite 米国最高裁決定(二○○六)の意義
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概要
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Metabolite事件で米国最高裁は、四半世紀ぶりに特許権の保護対象について判断しようと乗り出した。事件自体は下級審における審理不尽を理由として却下されたが、ビジネス界の鋭い意見対立が表面化し、特許保護対象を広範に認めるCAFC及び特許庁による現在の解釈に対して、大きな不満が渦巻いていることを示しており、本件は今後の米国特許制度の動向を見極める上で重要な意義を有する。本件では、病気の診断方法に用いられた科学原理が特許対象たり得るかが争われ、これが特許保護対象の例外とされる自然法則、自然現象、抽象的アイデアに該当するかどうかが問題となった。そこで、本稿では、Metabolite事件における論争を詳細に分析し、医療方法、バイオテクノロジーの保護対象の問題、そして、自然法則、自然現象、抽象的アイデアの特許保護の問題として検討する。また、近年米国で主張されている、特許制度のあり方として、裁判所が技術分野に応じた政策レバーという柔軟な法的基準を用いるべきであるとする学説の観点を紹介する。これらの考察を通じて、現在我が国で問題になっている、医療方法や機能性食品に対する特許の問題について示唆を得る。
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