フィールディング劇管見その2-Don Quixote in England : A ComedyからThe Coffee-House Politicianへ-
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概要
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フィールディング(Henry Fielding)の五幕喜劇『強姦騒ぎの顛末』(Rape upon Rape)は1730年6月に公演されたが、『コーヒー店の政治家』に改題・改編されて同年12月に開演された。一方、1734年4月に上演された三幕喜歌劇『イングランドに現れたドン・キホーテ』は、フィールディングが1728年春から翌年の夏にかけて、ライデン(Leiden)大学に留学した折に着想が湧いたものとされる。発表年次と幕数等に差異は見られるが、二作とも時の宰相ウォルポールを諷刺する事を主眼とする。恋愛と政としての政治が夜陰とコーヒー店で繰り広げられるのが、『コーヒー店の政治家』が描出する世界といえる。当時のイングランドの議員選挙で選挙権及び被選挙権は、年収の証としての土地保有に根ざしていた事から、異邦人、ドン・キホーテをスペインの素封家として自国選挙に参画させる『イングランドに現れたドン・キホーテ』には、『コーヒー店の政治家』同様、イングランド国政の抱える腐敗構造、金権と衆愚政治の実態が揶揄・嘲弄されている。
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