英語教育にみられる文化の捉え方
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概要
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本稿は、国内の英語教育における「文化」の扱われ方を、学習指導要領と使用頻度の高い教科書を中心に考察したものである。まず、指導要領においては、そこで説かれる文化理解とは異文化理解のことであり、言い換えれば英語圏を中心とする外国事情の紹介であることが抽出できた。教科書においても、今回の調査からは国を単位とした文化比較が多く、日本文化vs英語使用国文化という二項対立的な「文化観」が頻出することがわかった。分析の結果、人類学やカルチュラルスタディーズ等で提唱される近年の知見にかかわらず、国内の英語教育においては、依然として文化本質主義的傾向の根強い実態が浮き彫りとなり、その課題の大きさを改めて示すこととなった。This paper analyses how culture has been dealt with in English education in Japan, by examining the Course of Study developed by the Ministry of Education and some of the most frequently used textbooks at high school level. The findings reveal that understanding culture in the Course of Study means increasing the Japanese students’ awareness about foreign cultures from English speaking countries. Moreover, the cultural focus of textbooks consists predominately of dichotomous comparisons between Japan and English speaking countries based only on national differences. This study reinforces the hypothesis that despite the recent insights brought by fields such as anthropology and cultural studies, quite strong cultural essentialism still penetrates English education in Japan.
著者
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