システムにおける型と演劇の美学(研究課題:韓国と日本伝統芸能の比較美学,I 共同研究)
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概要
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「システム」は,さまざまな自然現象や社会現象を理解する上で,近年,その有用性が認められるようになった概念である。一方,「型」は日本の演劇において,「完成された形」とか,「洗練された動き」を指す概念として使用され,その概念自体,すでに「美」意識を含んだ概念である。この報告では,まず第2節で,型という概念が,システム理論において,システムの要素間の関係,システムの動態的変化,システムのイメージを示す上で有用な概念であることを示す。第3節では,演劇を含む芸術がシステムとして解釈できること,したがって,型がシステムとして見た演劇において有用な概念であることを示す。第4節では,システムとして見た演劇における型の概念を援用し,日本の演劇における美学の根底にある「調和」,「動と静」,「自然体」,「無我」,「共鳴」という概念が導かれる。第5節では,日本の演劇において導かれたこれらの概念が,外国,特に韓国の舞踊においてもその美学の根底にある概念に対応するものであることが示される。最後に,第6節では,型という概念のシステムと演劇における有用性が,究極的には,自然の動態的変化と人間活動との対応にあることが示唆される。
著者
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