『雪國』における《色彩》表現の日仏語比較研究 : 「鏡」と「窓ガラス」を通して見る《透明感》について
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概要
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本稿では、「雪國」で表現された[色彩美]の中でも[透明感を持った色]について考えてみることにする。ただ、[透明色]という[色]は日本工業規格の色名一覧にはない。それ故、ここでは[透明感]という観点から考えることにする。人間にとって色は[物]から見えていた性質(小町谷1992)なのである。この[色]の表現について、川端は「雪國」の中で赤、白、黒などの明確に目に見える物の[色]を鮮やかに描いているが、さらに、深層部を見てみると、その対象となる物(者)の後ろに隠れている[色]、言い換えれば、直接目には見えない、敢えて言えば[透明感を持った色]を極めて美的に描き出している。本稿ではこれらの[透明感]のある自然美、そして感情(心情)美などが表現されている箇所をいくつか取り上げて、[透明感のある色彩]が本作品の中で如何なる効果をかもし出しているのかを日本語文とフランス語文を比較しながら、その表現の相違を中心に考察を試みようとするものである。また、そこから見えてくる日仏双方の考え方の相違などにも言及した。
著者
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