小説『雪國』に見られる「擬態語表現」に関する対照研究 : 日本語とフランス語との表現の比較
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概要
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筆者は今日まで「雪國」に現れた比喩表現などについての小論を著してきたが、本稿では「雪國」の中で用いられているオノマトペ-殊に、「擬態語」(本稿で「擬態、擬音の両義を持つもの」については検討の対象としない。)の表現法について論じていく。フランス語にはオノマトペの中でも擬音語は存在するが、擬態語はほとんど存在しない。このような表現形式をもつフランス語の訳文と日本語原文とを比較検討しながら、擬態を表すであろうフランス語表現によって、川端の描く人間の行動、動きの表現を如何に描かれ、そのフランス語訳文がフランス語話者に如何に理解され、受け入れられるかを検討することは「文化の翻訳」という領域において、これは極めて重要な点だと考える。オノマトペは〔文化〕と極めて関連があり、それは同一文化の中では極めて有効な表現手段となり得るが、異文化の中で暮らす人々にとっては、正反対に極めて理解困難なものとなるのである。この日本語の擬態語がフランス語によって、作品中でどのような効果を引き出しているのか、〔文化〕との関連において検討していく。
著者
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