北部ルソン島イフガオ族の伝統的シャーマニズム再考
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概要
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本稿はフィリピン、ルソン島北部山地コルディリェラの東南部のイフガオ族における、伝統宗教の職能者とその活動の記述的研究である。キリスト教が受容される以前、フィリピンでは女性が宗教上の機能を果たすとされた。ところがイフガオ族では逆転した現象が見られ、イフガオ女性が宗教的祭司の役割を担わないという説が現在でも定説になっている。実際に儀礼を観察してイフガオ女性の位置を確認すると、微弱ではあるが女性が祭司となる回路も残され、周辺的ではあっても実際に儀礼を主導する場合もある事が判明した。ミシェル・ロサルドゥの論文(1975)は、彼女の専門であるイロンゴット族だけでなく、ルソン島北部における山地諸族にも、男女の象徴的な表象について文化分析を試みた。研究上の意図は大いに評価したいものの、イフガオ文化においては資料の吟味などに問題があると思われ、女性の位置も不当に貶められた調査データであることを指摘した。以上の文化表象について、現代の人類学で再考を促す必要があると思われる。
著者
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