国際的なることとは
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概要
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戦後のドイツ人にとって,ドイツ国家にとって国際的になること(Internationalitat)とは何であったのか。まず第一点はドイツでは度重なる戦争とナチ政権への反省こそが国際的なることであった。つまり,軍靴で踏みにじられた周辺諸国の陰惨な記憶を払拭し,さらに旧来のドイツ人の攻撃性という負のイメージを周辺諸国から取り除くことが大きな課題として残った。そのドイツの過去のイメージを払拭することが戦後政治の<国際的なること>の出発点であった。国際的なることとは,時代により異なり国策と結び付いてきた。この国際的なることの視座自体が国益と結び付いて揺れ動いている。政治的民主化,人権,経済格差の是正,社会保障,外交,文化受容などそれぞれの国の国策と価値観にかかわっている。第二次世界大戦前,日本もドイツも軍事産業を重要課題として掲げ,一般的には生活改善など国内の生活水準の引き上げを名目に,軍事力強化がなされ,かつてはそれが国際的なることであった。いまドイツはEU拡大,国民国家,国境を越えるEU設立主旨を基礎にして近隣諸国との友好関係を重視し,愛国主義的な敵対意識を除去してきた。さらには国籍など故国を越えた一人一人の人間の生き方や人種を越えた人間としての姿勢が重要だと考えられている。その人間としての生き方がこれまでの視点を変えていることに注目しなければならない。ここでこれまでの日米の国際的なることとドイツの国際的なることと比較し論及したい。
著者
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