旅と日常、そしてテクスト : 尊厳死についてどのように物語るか
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概要
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本稿は,筆者が本学短期大学部に所属していた最後の数年間,「英語III」のクラスで講じた終末期医療と尊厳死をめぐる物語の関連性について再検討したものである。ここでは,そのなかから,テクストとして,American Journal of Nursingに掲載された英語による二篇の事例報告と,日本語で書かれた小説一篇,南木佳士『山中静夫氏の尊厳死』を採りあげて,それぞれの語りの特徴を読みほどき,現代人の抱える生死の問題を,比較文化的,比較宗教的な視点もまじえながら考察した。本稿執筆直前には,筆者によってイギリスへの旅がなされ,その余韻の残る情況下,旅と日常性,旅とテクストとの相関関係も,執筆上,戦略的に取り込まれ,語る主体を意識することによって見えてきた,いわゆる「スロー・ヒストリー」の重要性,必要性と,先入見や軽信を排し,じっくりと時間をかけて語り直されるストーリーの必要性,さらにはまた,それを生きることの重要性についても考察を深めた。
- 神戸市看護大学の論文
著者
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