環境問題と企業経営 : その歴史的展開と経営戦略の観点から
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
地球環境問題への取り組みが、企業経営上ますます重要な課題になってきている。国民の意識・関心の高まり、各種環境関連法の成立を受けて、もはや企業が環境対策を行うことは通常の事業活動を行う上でも当然の活動になりつつある。そのような状況にあって、もし企業が従来から言われているような事業活動とは別次元の、単に「企業の社会的責任(CSR)」という観点からのみ、いわば受身的に環境対策を行うようであれば、他社との差別化につながらず、その活動の成果はわずかなものになってしまうだろう。温暖化をはじめとした地球環境問題はますます深刻化の度を深めているが、地球環境の保全が企業の第一の目的になることはあり得ず、その目的はあくまで企業の長期維持発展である。そのように考えると、環境対策を自社の経営活動と切り離して考えるのではなく、経営活動とどのように統合し、自社の競争優位につなげていくべきかという戦略的視点が必要となる。本稿では、まず、企業経営において環境問題が大きく取り上げられるようになった90年代以降の、国内外の動向と企業の取り組みについて概観した後、経営目的と経営戦略の観点から、環境問題と企業経営の関係について考察している。特に、経営戦略論における「リソース」という分析フレームワークを用いて、今後企業が環境問題にどのように取り組むべきかについて考察している。
- 関西学院大学の論文