放牧地への窒素,カリ施用量の違いが牧草およびめん羊血清中の無機成分におよぼす影響
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概要
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草地への窒素,カリ施用量の違いが牧草およびめん羊血清中の無機成分におよぼす影響について放牧条件下で検討した。オーチャードグラス単播草地を用い,窒素:カリ施用量(kg/10a)によりI区(10:10),II区(10:60),III区(40:10),IV区(40:60)の4処理を設け,施肥は年5回の均等分施とした。供試羊は明3才去勢羊で,おおむね7日間滞牧し,4牧区輪換放牧とした。牧草中の成分含有率は平均でI,II,III,IV区各々全窒素2.68,2.61,3.67,3.42%,リン0.45,0.44,0.37,0.35%,カリ3.36,4.22,3.82,4.53%,カルシウム0.25,0.23,0.27,0.22%,マグネシウム0.19,0.18,0.22,0.19%であった。これらの成分は生育時期によっても含有率が異なり,全窒素含有率は早春に高く,カルシウム,マグネシウムは春に低く,夏から秋にかけて高くなった。リンはI,II区で夏に高く,III,IV区では低くなった。カリ含有率の季節的な変化は明らかでなかった。めん羊血清成分の濃度は放牧期間申の平均で1,II,III,IV区各々,尿素態窒素26.4,25.4,31.0,29.Omg/dl,無機リン5.40,5.89,6.43,5.60mg/dl,カリ21.9,21.9,20.9,20.9mg/dl,カルシウム10.6,10.2,10.3,10.3mg/dl,マグネシウム2.39,2.23,2.29,2.29mg/dlで尿素態窒素が窒素多用区で高くなった。各成分とも放牧直後に変化がみられ,尿素態窒素は1日目から急激に高くなり,無機リン,カリ,カルシウムは2,3日目に一時低下した。マグネシウムもわずかに低下した。窒素,カリ施用量の違いによって牧草中の成分は変化するが,めん羊血清成分では尿素態窒素が窒素多用区で高くなったほかは差がみられず,むしろ各成分とも,舎飼いから放牧へ移行する際の変化が大きかった。
- 日本草地学会の論文
- 1982-02-28
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