放牧地への窒素施用量の違いが牧草およびめん羊血液中の硝酸態窒素,無機成分におよぼす影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
草地への窒素多肥が牧草および羊血液中の硝酸熊窒素,無機成分におよぼす影響について,放牧条件下で検討した。オーチャードグラス単播草地を用い,窒素施用量を12,24,48,96kg/10aの4処理区を設けた。施肥は年5回の均等分施とし,各牧区とも入牧7日前に施肥した。供試羊は明2才去勢羊で,滞牧7日間の4牧区輪換放牧とした。試験期間は1975年5月22日より10月9日までの20週間である。牧草中の無機成分は窒素施用量の増加にともない。全窒素は3.09から4.14%まで,硝酸態窒素は0.03から0.48%まで,マグネシウムは0.23から0.27%まで高くなった。りんは0.49から0.36%と低くなった。カルシウムは12kg区が0.37%と低いが他は約0.43%で差はなかった。カリウムは3.49,3.47,3.48,3.33%で一定の傾向がみられなかった。これらの成分は生育時期によっても含有率が変化し,全窒素,硝酸態窒素,りん,カリウム,マグネシウムは夏季に,カルシウムは秋季にそれぞれ高くなった。めん羊の血液成分では,尿素態窒素が24.8,27.1,29.4,32.0mg/dl,硝酸態窒素が4.2,33.3,81.2,168.9μg/dlと窒素施用量の増加とともに高くなり,牧草中の全窒素,硝酸態窒素含有率の傾向と一致した。無機りん,カリウム,カルシウム,マグネシウム濃度には窒素施用量の増加による影響はみられなかった。またメトヘモグロビン形成の上昇は認められず,試験期間を通じてめん羊の健康,増体に悪影響はみられなかった。
- 日本草地学会の論文
- 1980-07-31
著者
-
扇 勉
北海道立畜産試験場
-
前田 善夫
北海道畜試
-
伊藤 憲治
北海道立滝川蓄試
-
伊藤 憲治
北海道立滝川畜産試験場:(現)北海道立天北農業試験場天塩支場
-
前田 善夫
北海道立滝川畜産試験場
-
扇 勉
北海道立滝川畜産試験場
-
伊東 季春
北海道立滝川畜産試験場
-
谷口 隆一
北海道立滝川畜産試験場
-
前田 義夫
北海道畜試
-
谷口 隆一
北海道立滝川畜産試験場:(現)北海道立中央農業試験場
関連論文
- 21-1 簡易な分析機器を用いた乳牛糞尿中の肥料成分含有率推定法(21.土壌改良資材)
- 魚粉利用による泌乳牛の窒素排泄量低減
- 牧草サイレージ主体飼養における泌乳牛の糞尿量および窒素排泄量
- 8-33 重粘畑土壌における麦稈,糞尿充填心土破砕の効果について(8.畑・草地・園地土壤の肥沃度)
- 牧草サイレージ発酵品質に対する堆肥混入の影響および牧草収穫時の堆肥混入量の推定
- 8-8 馬における牧草の可消化エネルギーの推定
- 北海道における乳牛群の代謝プロファイルテスト
- 石灰窒素の牛ふん中大腸菌に対する殺菌効果
- 石灰窒素の添加が牛ふんの堆肥化および大腸菌の消長に及ぼす影響
- 放牧地への窒素施用量の違いが牧草およびめん羊血液中の硝酸態窒素,無機成分におよぼす影響
- 家畜排せつ物の利用促進と環境保全
- 放牧地への窒素,カリ施用量の違いが牧草およびめん羊血清中の無機成分におよぼす影響
- 羊の血清マグネシウム濃度に及ぼす早春放牧の影響
- 糸状肺虫による牛肺虫感染防御試験
- 牛肺虫の舎内同居感染について
- 北海道における「クリーン畜産」を目指した取り組み(安全安心な畜産物生産を目指した土地利用型畜産の方向(1))
- 国内情報1 北海道での自給飼料に立脚した畜産物の安全・安心に向けた取り組み
- 泌乳牛のアミノ酸栄養改善による窒素排泄量低減に関する研究