家畜のグラステタニー症発生と関連する牧草の有機酸組成に関する研究 : I.グラステタニー症発生草地におけるオーチャードグラスの有機酸組成
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概要
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本邦における最初の放牧牛によるグラステタニー症の発生地である岩手県外山牧場について,その発生原因を牧草の有機酸組成の関連にて調査した。1974年の5月,8月と10月に上記牧場内の放牧地とそれに隣接する採草地より,主体草種であるオーチャードグラスを採取し,その有機酸組成を定量し検討を加えた。分析定量は昇温式ガスクロマトグラフィー法によった。その結果,オーチャードグラス中の有機酸では,Malic acidとQuinic acidの含量がいずれの時期および草地においても,他の有機酸に比して高いことが認められた。しかし,本症発生と密接なる関係があるといわれているCitric acidならびにt-aconiticacidに関しては,今回の調査からは本症発生との関係は見出せなかった。すなわち,前者は含量も低く,かつ,季節変化が小さかったので,調査地点において本症が春に多発することに結びつけられなかった。また,後者のt-aconitic acidでは,いずれの場合にも検出されず問題にならなかった。なお,本症発生と符合する季節変化を示したものは有機酸全量とMalic acidであったが,この点については今後の検討が必要であろう。
- 日本草地学会の論文
- 1980-01-31
著者
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