クマイザサ型草地における物質代謝 : 第3報 有機物分解系
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概要
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1.本研究の結果植物群落のなかで形成された落葉の分解過程はJENNYによる環境要因の関数と考えられ次式で表わされる。[Numerical formula]ここでCはある時点における落葉の乾物量,clは気候,Sは土壌,rは地勢,Oは生物,tは時間を表わす。もし群落が同一立地条件である場合,更に時間tの単位を年単位で考えると[Numerical formula]に帰一される。ここでCは落葉量であり,含有諸有機物や無機物の総和と考えられる。すなわち,群落における落葉分解の一般モデルは[Numerical formula]であり,ここでiは落葉を形成する諸物質の種類,Coは最初の落葉量,kは分解常数である。したがって,落葉の蓄積は次式に表わされる。[Numerical formula]ここでLiは落葉を形成している物質の年生産量である。2.クマイザサ落葉の有機成分の分解および蓄積を上記のモデルによって検討した結果純繊維,粗脂肪,冷水可溶物,その他炭水化合物,リグニン,粗蛋白質の順にその分解はおそく,無機成分はK,Ni,Co,Cu,Zn,Ca,Na,N,Mg,Mn,P,Feの順序で遅く無機化しながら蓄積されることが推定れた。一般的に言えば落葉に含まれている無機元素の無機化は有機物の分解よりやや遅かった。3.クマイザサ型草地において年間無機元素の循環量は落葉の無機化によってC〜187.53,N〜2.19,P〜0.095Na〜0.281,Fe〜6.1x10^<-3>,Mn〜14.8×10^<-3>,Zn〜9.5×10^<-3>,Cu〜9.5×10^<-4>,Co〜2.3×10^<-4>,Ni〜4.6×10^<-4>g/m^2であった。したがって,このクマイザサ型草地を恒常状態に維持するためには上に述べた以上の量の無機養分が毎年必要であることを示している。
- 日本草地学会の論文
- 1973-12-25
著者
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