日本企業のMBO導入 : その背景と目的
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概要
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1997年から1998年の金融危機を経た後、日本企業は、金融ビッグバンに対応しつつ新たなビジネスモデルの創出を余儀なくされるようになった。新局面に入り、長期にわたって墨守してきた日本的経営を放擲し、アメリカ的経営を選択する例も少なくない。アメリカ的経営手法の特徴のひとつとして、株主主権に基づくM&Aが挙げられるであろう。分けても、敵対的買収はこれまでわが国の企業社会にはほとんど無縁であったが、最近ではこれさえ異例とはいえなくなりつつある。この傾向を懸念する企業のなかには、防衛的措置としてMBOに踏み切る企業が少なからず現れた。本稿の主題は日本企業におけるMBOであるが、その背景と目的は必ずしも一様には捉えられない。ここでは、個別例を通して共通のパターンを抽出した後、合目的的なMBO像を提示する。