物体の運動理解に関する研究 : 慣性に関する誤概念(3)
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概要
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高校や大学で物理学の知識を学習したはずの青年たちが,物理現象について誤った理解や推論を行うことが知られている。それらの理解や推論の基になっている誤った信念や概念を,一般に誤概念と呼ぶが,この研究では,慣性にかかわる誤概念,「円慣性」「付属物の慣性」について検討した。今回の調査は,2005年に行ったものと同じものである。今回は,課題理解をより確実にするためにビデオを用いて課題の説明を行った。2005年に行った調査結果と今回の結果を比較して検討した結果,以下の点が明らかになった。第一は,この課題で得られた正答率はこの年代の一般的な正答率であると考えられることである。調査方法が異なるにも関わらず2005年調査と今回の調査で,各年齢段階の正答率にほとんど差が見られなかったのである。第二は,これらの課題に対する理解の発達は「操作」ではなく,単なる「知識」の獲得が中心であると考えられることである。第三は,今回の課題では明確な性差が見られたことである。ただし,2006年の調査(放物線理解の発達)では,性差が明かではなかったわけであり,力学的な課題でも領域によって性差が見られものと見られないものがあることが示唆される。これは認知発達における「領域固有性」のパラダイムを支持するものである。
- 目白大学の論文
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