糖質に関する研究 : 第三報寒冷により血液の凝固しない原因
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概要
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血液の凝固する時間は温度が高い程短くなる,然しこれを零度以下に冷却すると凝固しない。著者はこの凝固しない状態の血液の温度を上げて行くと,15°迄は凝固しないこと,15°以上に上げると図表に示したように急に凝固することを観察した。この血液凝固にはカルシウムイオンが絶対的に必要で,これに蓚酸曹達を加えるとカルシウムが沈澱し,拘椽酸曹達を加えるとカルシウムイオンの活性が減ずるので,共に血液は凝固しない。これと同様に循環血液に正常成分として存在する果糖(著者のインシュリンの作用機序を参照されたい)が冷却によりカルシウム塩として沈澱するため凝固しない。15°以上に上げるとこれが再び溶解するため凝固を起すのである。故に血液にカルシウムィオンを加えると0°でも15°でも凝固を起す。(この研究は昭和22年5月25日の日本農芸化学会東京支部大会において発表した)
- 帯広畜産大学の論文
- 1952-03-25
著者
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