流行予想色と婦人服装色との関連性

概要

論文の詳細を見る
本論では,流行予想色と婦人服装出現色の実態との関連を,以下の3つの検討により明らかにした.第一に,流行予想色と服装出現色とにどのような関連性があるのか,両者の相関係数により統計学的に検討した.この結果,流行予想色が服装出現色に最も反映するのは,予想色が意図した1年半後の実需期においてであり,次いで予想色発表と同時期の服装出現色との相関性も比較的高かった.さらに実需期の1年前の服装出現色にも,流行色の前倒しとしての相関性が生ずることが分かった.ただし,実需期の1年後には,その影響は低下する結果となった.実需期の半年前,および半年後の予想色と服装出現色とを検討すると,春夏,秋冬のシーズン差の影響が大きいためか,有意な正の相関のある色数は大きく減少している.また原宿・渋谷・銀座の地点別の検討では,流行予想色に対して,銀座での服装出現色が最も高い相関性を示し,流行予想色に対する反応には地域差があることが分かった.さらに春夏,秋冬のシーズン別で検討した結果,春夏シーズンにおいては,予想色が発表されるとすぐに服装出現色に反映され,秋冬シーズンでは,実需期において最も相関のある色が増加し,シーズンによる流行予想色の採用時期の差異が明らかになった.第二に,流行予想色と服装出現色の出現推移において,有意な正の相関のある色,逆に相関のみられない色の中から,特徴的なものを検討した.この結果,正の相関のみられたライトピンク,ライトオレンジ,ダークブラウン,ライトイ***ー,ホワイトなどは,流行予想色に対する服装出現色の出現傾向や出現頻度がほぼ一致しており,予想色の提案1年半後に確実に服装出現色に反映されていることが分かった.一方,相関のみられない色では,ダークブルーやグレイ,ブラックのように予想色に対し出現傾向の異なるものや,出現率が大きく上回るものなど,予想色が反映しにくい色と,ダークレッドのように,予想色提案半年後の時点で,すでに服装出現色に反映される色のあることが分かった.第三に,色個別の全体的な特徴として,各色の平均出現率と変異係数から検討したところ,予想色の示す分布に対し,服装出現色ではホワイトとブラックを除き概ね一致していた.ただし,両者の変異係数に注目すると,予想色に対する服装出現色の変異係数は上回っており,予想色の提案がより過敏に服装出現色に反映されることを示唆するものであった.以上の結果から,流行予想色と服装出現色の関連性を明らかにすることができた.今後の課題として,流行予想色に対する地域別の影響度やアイテム別の反映度の違いなど,より実態に即した検証を進めるとともに,ブラックやホワイトなど,日本人女性の服装出現色に顕著に表れた色嗜好について,さらには,服装出現色が反対に流行予想色に与える影響等について検討を加えたい.
2007-11-15

流行予想色と婦人服装色との関連性

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク