二基質同時測定法によるアルカリホスファターゼに関する研究 : その1.初速度測定法および反応停止測定法
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概要
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血清alkaline phosphatase活性は通常人工基質を用いて測定されている。これらの基質の中で一次発色基質であるp-nitrophenyl phosphate (pNPP)およびphenolphthalein monophosphate (PMP)の2種類の基質を同一反応液中で使用する二基質同時測定法を考案した。この方法は基質緩衝液に試料を加えて,pNPPから酵素反応により遊離したp-nitrophenolを波長402nmで測定し,続いてPMPから遊離したphenolphthaleinを553nmで測定する。それぞれの基質に対するAl-P活性に相当する吸光度変化(ΔE/min)を求め,その活性比すなわちpNPP/PMP比を計算する。本法における基質濃度は二基質がalkaline phosphataseに対して競合することを期待して,それぞれの基質に対するKm値附近の濃度に設定した。この方法を使用することによりpNPP/PMP比が試料の種類により異なる結果を得た。各種試料についてpNPP/PMP比を求めたところ,肝抽出酵素:3.5,小児血清(骨型優位試料):3.8〜3.9,胎盤抽出酵素:2.4,小腸粘膜抽出酵素:0.9であった。このことから本法を使用してpNPP/PMP比を求めることにより,alkaline phosphatase isozymeの分別ができる可能性が示唆された。なお本法は小腸型alkaline phosphatase isbzymeにおいて著しく低いpNPP/PMP比を与えた。このことは本法によって微量の小腸型isozymeの検出ができることを意味する。更に本法はalkaline phosphataseの分別のみならず,複数の基質を使用して複数の酵素を同一試験管内で測定できる可能性をも示唆している。
著者
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