二基質同時測定法によるアルカリホスファターゼに関する研究 : その2.電気泳動法,耐熱性試験との関連性とその評価
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概要
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alkaline phosphatase isozymeの分別は一般的に電気泳動法が用いられている。しかし各isozymeが電気泳動上で比較的狭い範囲に泳動されるため電気泳動法ののみでは明確に区別できないという問題がある。著者は先にp-nitrophenyl phosphate(pNPP)とphenolphthalein monophosphate(PMP)の二基質を同一反応液中で使用し,それぞれの基質に対する酵素活性からpNPP/PMP比を求めることによりalkaline phosphatase isozymeを分別する試みについて報告した。今回はこのpNPPIPMP比を電気泳動法,耐熱性試験と比較し,その関連性とpNPP/PMP比の評価を試みた。その結果,pNPP/PNP比を電気泳動法とのみ比較するとおおむね3群に分れた。即ち(1)比が3.6以上を示す骨型優位群,肝(I)型存在群,(2)比が3.5を中心に比較的狭い範囲に分散する肝(II)型優位群,(3)比が肝(II)優位群より低い胎盤型存在群,小腸型存在群である。この結果に更に耐熱性試験の結果を加えると,(1)は耐熱性の低い骨型優位群と肝(I)型存在群に明確に区別できる。(3)は耐熱性の高い胎盤型存在群と耐熱性が肝型と類似している小腸型存在群に区別できる。これらの中で肝(I)型存在群は電気泳動上でα_1-グロブリン位に泳動されるので他の群とは明確に区別できる。したがって電気泳動とpNPP/PMP比を組合せることにより,従来問題とされていた肝(II)型優位群と骨型優位群は耐熱性試験を加えてなくても明確に区別できることが判明した。以上の結果,本法はalkaline phosphataseの分別にあたって電気泳動法の有力な補助診断法となる確証を得た。
- 千葉大学の論文
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