二基質同時測定法によるアルカリホスファターゼに関する研究 : その3.IgG結合アルカリホスファターゼ
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概要
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Alkaline phosphatase (Al-P)の電気泳動法は種々の支特体が使用されている。中でもセルロース・アセテート膜は使用における簡便性から日常検査法として広く利用されている。著者もTitan III-Iso(セルロース・アセテート)膜を使用し,pNPP/PMP比の測定を平行して実施してきたが,電気泳動上で小腸型Al-P isozymeが優位であることを示し,pMPP/PMP比はその存在を否定するデータに遭遇した。その矛盾を解明するため種々の検討を行なった。その結果,この現象は寒天ゲルを支特体とした場合は陰極寄りに易動し,小腸型とは明らかに区別できたことからセルロース・アセテート膜特有の現象であることが判明した。一方,pNPP/PMP比は小腸型Al-P isozymeに感度が高い特性を有していることから,小腸型以外の特異なisozymeの存在を想定しカラムゲル濾過を実施したところ,通常の肝(II)型より分子量がやや大きい分画が得られた。Al-Pの他のたんぱく質との複合体を想定し酵素-免疫電気泳動を実施したところ,このAl-PはIgG(λ)結合Al-Pであることが判明した。免疫グロブリン結合Al-Pについては他にも報告が見られるが,今回の例はセルロース・アセテート膜上では小腸型Al-P isozymeと区別がつかず,pNPP/PMP比とのデータのくい違いにより発見されたもので他に例がない。以上のことから二基質同時測定法によるpNPP/PMP比は小腸型Al-P isozymeの決定的な同定法となる確証が得られた。
- 千葉大学の論文
著者
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