経皮経肝的門脈カテーテル法とそれによる門脈圧亢進症の病態の研究
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概要
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肝硬変を中心に各種肝疾患211例に経皮経肝的門脈カテーテル法を実施し,それによる門脈造影(PTP)を施行し手技の改良と本法の合併症について検討した。次いで本法を用いて異った2種の核種で標識したMAAを門脈内に注入して肝外短絡率を28例について算出し,その臨床的意義について検討した。更に緊急吐血例を主に本法を用いて28例,31回の食道静脈瘤閉塞術(PTO)を施行し,その成績と予後について検討し以下の結論を得た。1),従来の方法のPTPに比較して,PTC針と外套sheathを用いる改良手技(新法)は成功率も94.7%と高く,又術中カテーテル操作や交換が容易になり,左胃静脈等への超選択的造影が可能で且つ術中患者に与える苦痛も減少した。2),本法に伴う合併症は胆管造影が28例(13.2%)と最も多かったが,術後開腹を必要とした1例を除いて他はいずれも軽い合併症であった。3),肝硬変における肝外短絡率は0〜52.4%と巾広く,症例による変動を示した。肝外短絡率はPTPで得られた左胃静脈の発達程度や吐血との間で有意の相関を示した。4),肝外短絡率35%以上,門脈圧360mmH_2O以上を呈する症例は80%吐血例であり,これら2つのパラメーターは吐血の予測や予防的手術の適応を決定する上で有用と思われる。5),異なる3つの方式でPTOを行ったがその中でstainless steel coilを用いる方式が容易で且つ合併症も少なかった。6),PTOを行った緊急吐血例の57.1%に再吐血がみられ,吐血までの平均期間は5.8カ月であった。coilを用いた場合,その部は再開通せず新たな短胃静脈が増大し静脈瘤の再発達とそれによる再吐血と考えられる。本法の第一義的適応は緊急吐血の止血であり,可及的に手術に回すのがよいと思われる。
- 千葉大学の論文
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