健常および心・脈管疾患におけるX線CT像と超音波断層像の対比
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概要
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超音波断層法とX線コンピューター断層法を用い,健常28例,各種心・脈管疾患254例について,両法より得られた画像を比較し,両者の特徴,利点,欠点を比較検討した。1)CTは肺や骨の影響をうけず,また胸壁からの深さや方向とは関係なく胸部全体の画像が得られ,超音波法では得にくい心の後方・側方部分や肺動脈レベルより上方の構造物,下行大動脈も明瞭な画像を得ることができた。従って,僧帽弁疾患の拡大した左房,胸部大動脈瘤などの描出は超音波法より優れていた。2)CTは単なる横断像ではなく,組織のX線吸収度をCT値として定量的に表示できるので,石灰化,心辺縁の脂肪組織,肺内水分量など,超音波法では観察の難しい病態の表示にも有用であった。3)使用したCT装置では,心筋と血液の間にX線吸収度の差がわずかであるため,心腔,心筋,弁葉などの区別は困難であり,両心室の境界はおおよその区別をしうる程度であった。一方,超音波法ではそれらの内部構造をReal timeで描出することができ,とくに弁膜症,血栓,少量の心膜液貯留などの診断に有用であった。4)冠状静脈洞など,従来超音波法では描出困難のため注目されていなかった心構造物についても,CTの所見を参考にして撮影することにより,その同定が可能となった。
- 千葉大学の論文
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