犯罪学におけるコントロール理論の最近の展開と主な論争点の検討
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概要
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最近の犯罪学において注目を集めている主張の一つにゴットフレッドソンとハーシによる『犯罪に関する一般理論』(General Theory of Crime)がある.セルフコントロール(SC)という個人的要因をキー概念とするこの理論は,犯罪学におけるコントロール理論の最新の主張として位催づけられ,SCの程度が様々な逸脱行為の発生に関与するという主張,その関係性は人種・性別・文化を超えて適用されるという主張,SCの程度は家庭や学校などのしつけによって幼少期に決定されるという主張,その稚度は一生にわたって不変であるという主張の四つから構成されている.コントロール理論の最近の展開はこれらの主張に沿って行われており,多くの実証研究と同時に様々な論争を今まで生み出してきた.そこで,本稿は,犯罪学におけるコントロール理論のこのような展開を概観・検討することによって,コントロール理論の主張を実証的に解明する研究を行うにあたっての論点を整理し,今後の研究の方向性を明らかにすることをその目的とする.
- 日本犯罪社会学会の論文
- 2007-10-20