沖縄県の老人保健事業における基本健康診査受診率と老人医療費の関係
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概要
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沖縄県における高齢者の基本健康診査受診率と老人医療費の相関関係を分析し、併せて得られた直線回帰式を用いて基本健康診査受診率の向上によってどの程度老人医療費を抑制することが可能か試算した。その結果以下の知見が得られた。1)過去10年間(1994-2003)における高齢者の都道府県別基本健康診査受診率の推移をみると、全国的には上昇傾向にあるが、沖縄県はむしろ低下傾向を示し、平成15年度は全国で第44位であった。2)平成15年度の都道府県別データを用いて相関関係を分析した結果、基本健康診査受診率と1人当たり老人医療費との間には、有意な負の相関(r=-0.47)があり、1人当たり老人医療費(入院)との間にも有意な負の相関(r=-0.50)があったが、1人当たり老人医療費(入院外)との間には、有意な相関は認められなかった。3)基本健康診査受診率と老人医療費の相関分析から得られた直線回帰式を用いて沖縄県の基本健康診査受診率が平成15年度現在の30.2%から35%、40%、45%、そして50%へ向上した場合を仮定して抑制できる老人医療費を試算した。その結果、基本健康診査受診率が向上すれば老人医療費をかなり抑制できる可能性が示唆された。以上の結果から、老人保健事業における基本健康診査受診率の向上を図るための積極的な事業(介入)を推進することが沖縄県および沖縄県内の市町村に課された急務の課題である。しかし、本研究は基本健康診査受診率と老人医療費の単回帰分析による結果であり、基本健康診査受診率以外の老人医療費を規定する他の要因も含めて今後さらに検討する必要がある。
- 沖縄国際大学の論文
- 2007-03-15
著者
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