日本語受動構文とθ理論
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概要
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助動詞「られる」を用いた日本語受動構文において,θ役割が付与されるしくみを,生成文法の立場から解明することが本稿の目的である。日本語受動構文では,通例,主語NPに付与されるθ役割は「被害者」であるが,「褒められる」という受動形は,「受益者」が主語NPに付与される。本稿では,この「褒める文」が,θ浸透とθ転送という条件を用いて,原理的に説明することが可能であることを主張した。この受動構文においては,「褒める」からD構造における「自分」までθ役割を浸透し,その後,「自分」から,それと同一指標を振られた主語NPにθ役割が転送されるのである。「褒める文」以外の受動構文は,「られる」から主語NPまでθ浸透が行われる。θ浸透に関して,θ付与子から被付与範疇までの経路数6以下を基本とする「θ浸透条件」を提案し,受動構文における統語現象が説明できることを示した。
- 近畿大学の論文
- 2007-03-25