多重WH構文の統語現象に関する一考察
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概要
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日本語と英語の双方に多重WH構文(疑問詞が複数生じる文)が存在するが,この文におけるWH句は,LF(論理形式)部門で,WHが移動して認可されるものと,一般に考えられている。本稿では,WH句の認可条件に,WH句のLF移動が関わっていないと考え,CP主要部照合という照合理論を提案する。LF内で主節のCP主要部が,WH句をm統御していることが最低条件で,WH句は認可されると考える。素性の一致と照合数の満足により,WH句は完全に認可され,全体の文に正しい解釈が与えられる。主節と従節のどちらに,WH句がどれだけ生じるのかという観点で,構文を分類し,それぞれCP主要部照合を試みた。結果として,日本語において,「助詞『か』がS構造上での移動では島にならないのに,LF移動で島になる」という矛盾を解決するなど,CP照合の優位性を示すことになった。
- 近畿大学の論文
- 2005-12-15