慢性疲労症候群(Chronic Fatigue Syndrome)のマウスモデル作製と漢方治療有効性の検討
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概要
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慢性疲労症候群(Chronic Fatigue Syndrome : CFS)は,その原因・病態には諸説あるが,未だ不明な点の多い疾患である。Brucella Abortus反復投与を行いCFSマウスモデルを作成。このモデルを用いて病態の解明・診断・治療を検討した。CFSモデル・正常対照群(Normal群)の比較では,CFSモデル群で1日運動量の56週間にわたる低下,リンパ組織である脾臓の腫大,脾臓組織での濾胞細胞の面積増加を認め,免疫系の変調が示唆されCFSの臨床症状と合致する変化がみられた。脳,胸腺,肺,心臓,肝臓の各臓器重量および体温,血圧,脈拍については有意差は認めず,炎症性サイトカインであるTh1由来のインターフェロンγ(IFN-γ)とTh2由来のインターロイキン10の脾臓でのmRNA発現量の変動によるTh1/Th2バランスの変化は認めなかったが,CFSモデル群ではNK細胞活性低下傾向がみられた。漢方薬である補中益気湯(TJ-41)投与における多群間比較では,CFSモデルでTJ-41投与により治療開始早期に運動量改善を示し,脾臓内IFN-γ発現の有意な上昇を示した。以上からCFSの病態には何らかの免疫系の変調が存在し,TJ-41投与の免疫賦活作用による治療効果が示された。
- 金沢医科大学の論文
著者
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守屋 純二
金沢医科大学総合内科学
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守屋 純二
金沢医科大学 総合内科学
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Moriya Junji
Department Of General Medicine Kanazawa Medical University
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守屋 純二
金沢医科大学附属病院 総合診療科
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