化学療法後の造血器腫瘍患者の消化器症状と食事へのニーズ : 患者に対する聴き取り調査から
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概要
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化学療法を受けた経験を持つ造血器腫瘍患者17名に対して、QOLの観点から患者の食事の満足感につながる援助について検討することを目的に、消化器症状や食事のニーズに関する調査を行った。調査の結果、嘔気は治療開始3〜4日前後、食欲不振は治療開始10日以降に出現しやすく、患者の食事摂取量に影響を及ぼしていた。治療2〜3日前と治療10日後の栄養状態の比較では、治療10日後の総蛋白、ヘモグロビン値が有意に低下していた(t検定、p=0.04、p=0.004)。消化器症状の中で苦痛度が高かったのは食欲不振であり、13名(76%)に味覚の変化がみられた。特に塩味と酸味が鈍くなったと回答していた。食事に対するニーズは、「食べられることで安心する」「できる限り口から食べたい」「少しでもおいしく食事がしたい」と80%以上が回答していた。病院食に関しては、5割が満足しており、ハーフ食や選択食などは、患者のニーズに合致していた。また、患者個々が味を調整できるよう、調味料やスパイス、後で食べられる食品をつける工夫など、治療中だけでなく治療開始10日以降も食事に対する援助が必要であることが示唆された。
- 2007-03-31
著者
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高橋 正子
東邦大学医学部看護学科
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谷岡 早苗
元東邦大学医学部看護学科
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渋谷 美智代
東邦大学医療センター大森病院看護部
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蔦原 一洋
東邦大学医療センター大森病院栄養部
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掛川 悦子
東邦大学医療センター大森病院栄養部
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