規範としての身体 : 弘前大学新入生「病気のとき,どうしましたか」調査から
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概要
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過去1か月の心身の不調に際して,大学生がどのように対処しているかを質問紙法によって調査した。対象者は672人,うち607人が新入生である。全体の65%が何らかの不調を経験しており,そのうち医療機関にかかった者は16%であった。大半が民間セクターでの自家治療ですませている。記述された病気のエピソードは436あった。症状は喉の痛み・腫れ,頭痛,腹痛・胃痛,鼻,筋肉・関節痛の順で多く,原因帰属は疲労,生活全般,睡眠,行為・出来事,ストレス・精神,食生活,気候・住環境などであった。さらに,エピソードの42%で,「するべきことをしない」「通常の状態からはずれている」ことを指す規範表現が見られた。この結果は,学生たちが心身の不調を新生活のペースメーカーとして用いていることを示唆する。新入生にとって,不調は対処すべき状態であると同時に,それを機会に生活のリズムやバランスを修復するきっかけとなっている。
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