ウシより単離した有害物質排出タンパク質MRP1 : ヒトおよびマウスMRP1との発現、構造および機能の比較解析
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概要
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MRP1は、抗ガン剤や重金属などの有害物質を、細胞内から外へ排出するポンプタンパク質である。我々は、母体内の有害物質が乳汁中に移行することを防ぐことにより、牛乳の性質に影響を与える可能性のある遺伝子として、授乳中のウシ(ホルスタイン)乳腺よりMRP1のcDNAを単離した。本研究では、ウシの各組織におけるMRP1 mRNAの発現を解析すると同時に、ウシMRP1とヒトおよびマウスMRP1のアミノ酸配列と機能の比較を行った。その結果、MRP1は広い範囲のウシ組織において発現しており、特に、その発現量は、肺、腎臓、骨格筋で高く、脳、肝臓では比較的低いことがわかった。また、ウシMRP1の1088番目のアミノ酸残基が、この輸送タンパク質の抗ガン剤アドリアマイシンの輸送能力と関連しており、ウシMRP1のアドリアマイシンの輸送能力が低いのは、このアミノ酸が、アドリアマイシンの輸送能の高いヒトMRP1と同じグルタミン酸ではなく、その輸送能の低いマウスMRP1と同様にグルタミンであるためであることが示唆された。
- 2005-03-15
著者
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佐伯 和弘
近畿大学大学院生物理工学研究科生物工学専攻:近畿大学生物理工学部遺伝子工学科
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田口 善智
近畿大学生物理工学部遺伝子工学科
-
田口 善智
Department Of Genetic Engineering Kinki University
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佐伯 和弘
Department of Genetic Engineering, Kinki University
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