チモシー(Phleum pratense L.)を基幹とする採草地におけるマメ科草混生割合に基づいた窒素施肥量
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概要
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北海道東部におけるチモシーを基幹とする採草地において窒素施肥量が,牧草収量およびマメ科草混生割合に与える影響を検討し,マメ科草混生割合に応じた窒素施肥量を明らかにした。供試草地として,マメ科草混生割合30%以上のチモシー・アカクローバ・シロクローバ草地(タイプ(1)),同30〜15%のチモシー・シロクローバ草地(タイプ(2)),同15〜5%のチモシー・シロクローバ草地(タイプ(3)),チモシー単一草地(タイプ(4)),ならびに地下茎型牧草優占草地(タイプ(5))の5種類を用いた。1)牧草収量は,いずれのタイプの草地でも窒素施肥量の増加とともに増大する傾向を示した。また,窒素施肥量が10a当たり16kg以下の場合,同一施肥量での牧草収量はマメ科草混生割合によって異なり,タイプ(1)>タイプ(2)>タイプ(3)>タイプ(4)>タイプ(5)の順に大きいことが認められた。2)マメ科草混生割合は,窒素施肥量が増加すると低下し,この傾向は処理を2年間継続することによりさらに助長された。3)牧草の窒素吸収量,ならびにマメ科草による窒素固定量および移譲量は,マメ科草混生割合の高い草地が低い草地よりも多かった。また,窒素施肥量の増加により窒素固定量は減少したが,窒素移譲量は増大した。4)現状のマメ科草混生割合を維持しつつ,当地帯の目標生草収量である10a当たり4.5tを確保するための各草地における10a当たりの窒素施肥量は,タイプ(1)=4kg,タイプ(2)=6kg,タイプ(3)=10kg,タイプ(4)=16kgであった。ただし,タイプ(5)の草地からは目標収量を得ることはできず,このタイプの草地は更新する必要があると考えられた。
- 日本草地学会の論文
- 1988-10-31
著者
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