楽曲の構成と動きの関係について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
動きを引き出すために使用する幼児用楽曲と4種(Walk、Run、Skip、Gallop)の動きの間にいかなる傾向が存在するものなのかをそれぞれの動きにあった楽曲を選曲させることにより、またその楽曲を選曲するにあたり基準としたリズムを記譜させることによってその記譜したリズムパターンからそのリズムにあった選曲基準がいかなるものであるのかを探った結果、集計結果の分布状態から楽曲と動きとの関連性は見られず、回答者はそれぞれ4種の動きごとに適合した楽曲を選曲し、同一曲により、複数の動きを引き出せるものではないと判断していることが分かった。次に4種の動きごとにその選曲した基準を見ていくと、「Walkに適合」する楽曲であると捉えられた楽曲の選曲基準は、メロディーパートにおいて拍頭が長音符である付点八分音符で入り、次拍から付点音符を主体としたリズムで構成されている楽曲、四分音符主体で構成されている楽曲、あるいはテンポに関して、Allegretto、M.M.〓=88〜120程度の速さで演奏される八分音符を主体としたリズムで構成されたものであると捉える傾向にあり、選出した楽曲を判断する基本となるリズムを四分音符の並列リズムと判断している。「Runに適合」する楽曲であると捉えられた楽曲の選曲基準については、八分音符主体のリズムで構成されており、テンポがM.M.〓=138程度で演奏されることによって「Walkに適合」と区別している傾向にあり、さらに選曲した楽曲を判断する基本となるリズムを八分音符の並列リズムと判断していること、また、テンポをアップすることによって四分音符の並列リズムもその基本リズムとなりうると判断していることが分かった。「Skipに適合」する楽曲であると捉えられた楽曲の選曲基準は、付点音符主体のリズムで構成された楽曲であると捉える傾向にあり、選曲した楽曲を判断する基本となるリズムを付点八分音符と十六分音符を組み合わせた連続パターンで構成されたものと判断する傾向にあること、また、その基本となるリズム形がWalk、Runに比較し、多種に及ぶことから基本となるリズムを認識できていないことが分かり、「Gallopに適合」する楽曲であると捉えられた楽曲の選曲基準は、シンコペーションにより構成されたリズムパターンであると捉えられる傾向にあり、認識されているパターンとして付点八分音符と十六分音符を組み合わせた連続パターンで構成されたBinary型、八分音符の三連符並列リズムで構成されたTernary型の2種に分かれ、Runの基本リズムである八分音符の並列リズムをgallopの基本リズムとして捉える傾向にあることがうかがえた。また、全体の傾向としてGallop、Skipは本来の基本となるリズムが正確に認識されない傾向にあることがうかがえ、リズムパターンを記譜しなかった無記譜の者が多いこと、記譜されたリズムパターンの数が多いことからも知ることができた。
- 2006-12-20
著者
関連論文
- リズムの構成と動きの関係について
- 楽曲の構成と動きの関係について
- リズムの構成と動きについて 第2報
- 動きをイメージし易いリズムの傾向について 第4報
- 動きをイメージし易いリズムの傾向について 第3報