全身性エリテマトーデス(SLE) : モデルマウスにおける末梢血の単球増加のメカニズムと病態形成との関わり
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概要
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全身性エリテマトーデス(SLE)のモデルマウスのひとつであるBXSBマウスにおいて,その病気を促進させる遺伝子としてYaa(Y-linked autoimmune acceleration)遺伝子が知られている.このマウスでは,SLED様の症状の出現に伴い末梢血中の単球増加が認められる.この原因を解明するために,BrdUを静注した後の単球についてフローサイトメトリーで解析したところ,BXSBオスマウスで骨髄における単球の産生亢進を認めた.また,Yaa遺伝子を持つ(Yaa)マウスと,持たない(non-Yaa)マウスの骨髄を混合して移植したキメラマウスを作成し解析した結果,このマウスでYaa由来の単球,non-Yaa由来の単球共に同様な末梢血での単球増加を認めた.さらに,増加した単球は,Gr-1^-CD62L^-で標識される分画がGr-1^+CD62L^+の分画よりも有意に増加しており,Gr-1^-CD62L^-の分画で樹状細胞のマーカーであるCD11cが発現していた.これらの結果からYaa遺伝子による単球の増加は,何らかの増殖因子に対するYaaをもつ単球の過剰反応によるものではなく,SLEの経過における増殖因子の過剰な産生によるものと考えられ,Yaaの作用により単球由来の樹状細胞の増殖を引き起こすことが示唆された.このように,これまであまり着目されていなかった単球が,SLEの発症を促進している可能性もあり,興味深い事実と考えられた.
- 2006-09-30
著者
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