現代会計研究の動向
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿は過去40余年間の財務会計報告研究のレビューを通してその方向性を探ることを目的にしている。最初に,「真正利益」概念に基づいた規範的アプローチの問題点を取り上げる。次に,問題解決のために財務会計が他分野の研究成果を積極的に受け入れることによって独自の理論を喪失していく過程を追いながら,会計処理システムのブラックボックスが少しずつ解明され,社会現象を研究対象とする会計研究が人間行為の本質を離れては存在し得ないことを明らかにする。現在のところ,会計基準設定機関は企業のファンダメンタルズに理論的基礎を置いて会計基準の改定を推し進めており,その社会現象的な意義に関する検討をほとんど行っていないと言ってよい。確かに,会計基準は時代の要請に応じて改革されるべきであるが,その会計技術的な改革だけでは不十分であり,それに関わる直接間接の利害関係者の行動が積極的に機能するような社会システムの構築が伴って初めて改革が効を奏するといえる。その意味からすれば,ファンダメンタルズ理論は実証的会計理論と競合関係にあると見做すのではなく,むしろ補完関係にあると捉えることが肝要である。
- 拓殖大学の論文
- 2006-12-25
著者
関連論文
- 収益認識基準の在り方 : 会計情報の質的特性と財務報告の目的からの検討
- Measuring the Genuine Wealth of Manufactured Capital : Accounting for a More Complete Description
- 現代会計研究の動向
- 資産の現在価値について : 剥奪価値と公正価値の融合