資産の現在価値について : 剥奪価値と公正価値の融合
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概要
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資産の現在価値については剥奪価値と公正価値という2つの評価基準があるが,FASBは相互の関連付けについて消極的な姿勢を示している。特に,FASB概念書第7号「キャッシュ・フロー情報および現在価値の会計測定値への利用」では,「企業に固有の価値」という考え方を明確に否定しており,剥奪価値の考え方とは全く別個の公正価値の考え方があるという立場が取られている。公正価値は完全市場の仮説に基づいた市場価格を資産評価の基本にしているので,出口価値を中心とした評価基準である。したがって,市場価格が存在しない場合には,公正価値は将来キャッシュ・フロー見積額の現在価値に依存せざるを得ないので,使用価値との相違を克服するための手立てが必要になる。これに対して,剥奪価値は資産の継続的使用を前提としているので,入口価値を中心とした評価基準である。したがって,資産の継続使用が利益の極大化をもたらさない場合には,これに代わる合理的な判断基準を必要とする。本稿では剥奪価値と公正価値の概念を個別に検討し,それぞれの概念の支配原理の欠陥を補完する基本原理として経済的合理性があることを明らかにし,両概念の融合を図るための工夫を試みた。
- 拓殖大学の論文
- 2006-08-01
著者
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