らい菌mce1A遺伝子にコードされる蛋白はヒト上皮細胞への侵入に関与する重要な病原因子である

概要

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背景 : ハンセン病の原因菌であるらい菌のゲノムには,結核菌の上皮細胞への侵入蛋白をコードするmce1A遺伝子と相同する領域(らい菌mce1A遺伝子)が存在する。しかし,らい菌mce1A遺伝子にコードされる蛋白が本菌の上皮細胞への侵入に関与する機能を有しているかは不明である。本研究の目的は,らい菌の上皮細胞への侵入におけるmce1A遺伝子産物(Mce1A蛋白)の役割を明らかにすることにある。方法 : らい菌mce1A遺伝子の組換え蛋白(1254-bp)を作製し,組換え結核菌Mce1A蛋白(606-bp,27kDa)と比較することで,らい菌Mce1A蛋白の性状及び機能について検討した。結果 : Western blot解析にて,組換えらい菌Mce1A蛋白(45kDa)は抗結核菌Mce1A蛋白抗体と反応し,抗らい菌Mce1A蛋白抗体はらい菌Thai53株及びMce1A蛋白をnative蛋白として発現する結核菌H37Rv株の菌体成分を認識した。組換えらい菌Mce1A蛋白は結核菌のそれと同程度に上皮細胞であるHeLa細胞への蛋白-コートラテックスビーズの侵入を促進した。結論 : らい菌mce1A遺伝子にコードされる蛋白は,結核菌のそれと類似の抗原性を有し,native蛋白としてらい菌に発現しており,本菌の上皮細胞への侵入に係わる重要な病原因子であることが示唆された。
2006-12-31